姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


話しながら歩いているとあっという間に改札だ。近江涼介とは使う沿線が違うから、今日はここでお別れ。

「涼介くん、今日は急だったのにありがとね。今度はみんなで遊ぼうね!」

「はい。」

簡素な返事。有馬美咲も近江涼介の生態に慣れてきたのか、無愛想を深読みしなくなってきた。

近江涼介が改札に入って行くのを見送り、私も大きく手を振り声をかける。

「近江涼介、また明日!」

「…じゃあな。」

無愛想は変わらないが、一応振り返って挨拶を返して駅のホームに消えて行く。
それを見ていた有馬美咲が、浮かない顔をして呟いた。

「やっぱり姫ちゃんにはちょっと違うよね、涼介くん。」

「? 当たり前でしょ、私達は友達なんだから。」

ポッと出の奴と一緒にしないでほしい。失礼な。

その気持ちが表情に乗って怪訝な顔をする私に気づいて、有馬美咲は場の空気を立て直す様に笑う。

「そっか、そうだよね!ごめんごめん。」

「姫、美咲!後3分で電車来る!ちょっと急ぐぞ。」

話を遮って傑兄ちゃんが私たちの背中を押す。

だから私も意識はすっかり電車に乗ることに切り替わって、慌てて走り出す。

(友達……友達、かぁ……。)

迫る発車時刻に追われながら、有馬美咲だけが近江涼介を思い出して漠然としたモヤモヤを抱えていた。