姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


***
夕暮れ時の帰り道、駅に入ったところで鳴ったスマホを取り出した。
渉兄ちゃんからのメッセージだ。

「渉兄ちゃんがよかったら夕飯ウチで食べてかない?だって。」

「どう?」と答えを求める様に有馬美咲と近江涼介を見た。

「いいの?じゃあお言葉に甘えちゃおっかなぁ。」

有馬美咲は嬉しそうに頷く。近江涼介はというと、その場で動きを止めたままだ。

「俺はいい。渉さんによろしく伝えといて。」

断った瞬間、ほんの少しだけ眉が寄った。
けれどすぐに、いつもの無表情に戻った。

……私としては有馬美咲と傑兄ちゃんの防波堤としていて欲しかったのに。

もうひと押ししようとしたけど、一瞬の歪みに気が引けてしまってやめた。

「そうかそうか、子どもは帰る時間だもんな!帰れ帰れ!」

傑兄ちゃんが嬉しそうにしっしと近江涼介を手で払う。
すっかり私を誑かす敵認定されてしまったらしい。
後で怒って訂正しておかなくては。