姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


だから、真面目に考えてみる。

自分は今日が始まってから“楽しい”と思っただろうか?

いろんな魚がいる、くらいには思ったかもしれないが……

『近江涼介!見て見て!』

ふと、水槽にかぶりつきで生き物を見ながら、はしゃいだり驚いたり忙しそうな姫の姿を思い出す。

あんなに感情が溢れているのに、それを形容するのが苦手な変な奴。

――思い出すと少し笑える。


「普通でしたよ。」


その短い言葉に、ほんの一瞬だけ美咲のまつ毛が震えた。

ちぐはぐに見えた表情と言葉にホッとして「そっか」と頷いた。