だから、真面目に考えてみる。 自分は今日が始まってから“楽しい”と思っただろうか? いろんな魚がいる、くらいには思ったかもしれないが…… 『近江涼介!見て見て!』 ふと、水槽にかぶりつきで生き物を見ながら、はしゃいだり驚いたり忙しそうな姫の姿を思い出す。 あんなに感情が溢れているのに、それを形容するのが苦手な変な奴。 ――思い出すと少し笑える。 「普通でしたよ。」 その短い言葉に、ほんの一瞬だけ美咲のまつ毛が震えた。 ちぐはぐに見えた表情と言葉にホッとして「そっか」と頷いた。