「離れろケダモノ!姫から3メートルは距離を置けェ!」
私にそっくりな女顔からは想像もできない様なドスの利いた声と睨みで近江涼介を威嚇する。
私達が次に進むはずだった順路から有馬美咲が息を切らせて走ってきて、近江涼介は呆れた様に立っている。
周囲の音は元通りよく聞こえて、「三角関係?」「何かの撮影?」とこちらを見ながらヒソヒソ話す声までしっかりわかる。
こんなところで恥ずかしいから本当にやめてほしい。
「ちょっと兄ちゃんやめてよ、恥ずかしい。」
「でもアイツが姫の頭に手をポンって!
ポンってしやがるからさぁ、兄ちゃんちょっと許せなくて……!」
「あれは近江涼介のクセみたいなもんだから!気にしなくていいの!」
「クセって何!?クセってことは何回もやられてんの!?そんなこと初めて知ったんだけど!?」
「もーうるさい。無視する。」
「姫ぇえええ!」
私達がというより主に傑兄ちゃんがギャーギャーやりはじめた横で、近江涼介と有馬美咲は微妙な空気の中並んでしまった。



