――友達と一緒に何かを見て、思ったことをすぐ共有できるのが“楽しい”ってことなんだとしたら。
「たっ、……楽しいけど!なに、文句ある?」
顔を顰めて照れを誤魔化す私の方に、近江涼介の手がゆっくりと伸びてくる。
「いいことだな。」
その手が私の頭に置かれ、ポンポンと2回小さく優しく弾む。
近江涼介の表情は小さく微笑んでいるんだけど、その奥にいろんな感情が混ざっている様な気がして目が離せなくなる。
幻想的な空間は、他にも人がいて賑やかだったのに急に音が遠のく感覚になっていた。
わかりづらいくらい微かな表情から、心の中を読み取ろうとしているからかもしれない。
夏祭りの日に一瞬別人みたいになったあの出来事に、今なら踏み込めるかもしれない。
いやでもどうだと言う迷いと、少しの緊張でごくりと唾を飲み込んだ時だった。
「テメェエエエエ!なにしとるんじゃーーーーい!!」
ものすごい衝撃と共に景色が高速で旋回した。
そして気づけばお察しの通り、私は傑兄ちゃんの腕の中に収まっていた。



