暗い通路を抜けると、目の前に大水槽が現れた。
視界に入りきらないくらいに広がる海の中の世界。
水槽の中で魚に紛れてのんびり泳いでいるウミガメを見つけ走って水槽の側に寄ると、振り返って興奮気味に手招きする。
「見て、カメが泳いでる!近江涼介、早く!」
近江涼介はそんな私を見つめながら、ゆったりと歩いて隣に並んだ。
目の前で見ていると、より視界が海でいっぱいだ。
小さな魚が群れをなして泳いでいたり、岩陰に隠れてじっと動かない大きい魚やカニがいたり。
砂浜を見ればここにもチンアナゴがふわふわと生えていて目が忙しい。
「サメもいる!
ね、これって一緒に泳いでいるやつを食べたりしないのかしら……」
夢中になっては近江涼介の方を向くと、思考の読めない無表情と目が合った。
――多分ずっとこっちを見ていたんだ。
ガラにもなくはしゃいでしまった分恥ずかしくて、咳払いして水槽に向き直る。
それなのにまだ視線を感じるから、ちょっとだけ気まずい。



