「くぉら近江涼介ェ!よくもやってくれたなァ?」
下顎を突き出し巻き舌にしてオラつきながら、近江涼介の胸ぐらを掴んで引っ張る。
奴は全く動じず涼しい顔だ。
「お前がいると傑さんが周り見なくなるから、引き離しただけ。」
「はぁ〜?だったら何よ?私以外にそれで困る人いる?」
「……この外出の趣旨わかってなさすぎ。鈍感人間。」
「なんだとう!?」
ジト目の無表情と暫く拮抗状態が続いた後、面倒くさくなったのか近江涼介が2枚のチケットで私の額を叩いた。
「……来ないなら置いていくけど。」
さっきまでの口論がまるでなかったことの様に、近江涼介は私に背を向けさっさと入場口へと歩き出す。
「ちょっと待ちなさいよ!まだ話は終わっていないんだから!」
こっちを全く気にしない背中に拳を振り上げ、私も慌てて後を追った。



