騒ぎが嘘のように静かになった校門前で、私は近江涼介の背中にしがみついて額をぶつけた。
――助けてくれた。
私の気持ちを理解って、味方してくれた。
それが私にとってどれほど尊いことなのか、近江涼介は知るはずもないのだろうけど。
じわじわと温かいものが胸に広がるような感覚が喉の奥まで込み上げて、きつく結んでいた唇がちょっと震えた。
「……泣いて」
「ない!」
言いながらちょっと鼻を啜る。
でも本当に泣いてないのだ。涙は流していないから。
「あっそ。」
近江涼介は淡白にそう言うけど、特に私をどうにかしようとはしない。
私の気が済むまでそうさせてくれた。
それはきっと、私を思い遣ってくれているからで。
その優しさがわかるから、またツンと胸が狭くなる。
余韻を残しながらなだらかに気持ちを落ち着かせて、大丈夫になった頃合いでそっと体を離す。
それに気づいた近江涼介が、私の方に振り返った。
「……ありがとう!助かった!」
緊張して顔に力が入る。カッコ悪いところを見られて、少し恥ずかしさだってあった。
「すごい顔。」
ク、と片方笑いして近江涼介が私の髪をくしゃりと一撫でする。それにつられて私も笑った。
「もしかして待っててくれてたの?」
「…偶然通りかかっただけ。」
「そんな都合のいいことないでしょ!」
そんなことを言いながら、2人一緒に校門をくぐった。


