「えぇ、でも俺達ひめちゃんに会いたくてかなり遠くから来たんですよ!
少しくらい話してくれたっていいじゃん。」
「あんなアカウントに掲載されて、目立ちたくないはないでしょ〜!」
「一緒に写真撮って!」
「握手して!」
好き勝手に自分の要求ばかりを投げつけてくる騒音が再開されて、耳の奥がキーンとする。
人だと捉え直したものが、またジャガイモのように見えてきて、鼓動も落ち着いてフッと冷静な気持ちになった。
――結局ちゃんと向き合ったところで奴らは私を心のある人間だとは捉えていない。
だから私の気持ちを考えようともしないんだ。
『わたしはおとこのことはあそびたくないの!あっちいって!』
『えー、でもぼくたちは姫ちゃんとあそびたいんだよ。』
小さかった頃のことを思い出す。
断っても断ってもしつこくついてきて、うるさい。
“相手の気持ちを考えましょう、何度も断られたら悲しいよ”って私だけが先生に怒られた。
私の気持ちを考えない奴のことをどうして思いやらなくちゃいけないの?
そう思って、寄ってくる男をみんなジャガイモだと思って無視することにした。



