「本当にいいのかよ、送らなくて。」
放課後、帰り際に広瀬真が念を押すように聞いてくる。
榛名聖はさっさと帰った。
校舎の窓で校門前の集団が一部帰っていくのを見たから、もう学校を出たのだろう。
近江涼介の姿も見えないけど、いつものことだし帰ったはずだ。
「うん、大丈夫。なんとかするから。」
力強くそう言ったのに心配してくれているのだろう、広瀬真は私に疑いの目を向けている。
そんな背中を強引に押して教室から追い出すと、手を振り「帰って」の意を示した。
(――よし、行くぞ。)
しばらく間をおいて自分も教室を出て玄関に向かう。
外では、昨日と同じような集団が校門前で群れをなしている。
そこに近づいていく度、自分を興奮したような顔で見つめて騒ぐ集団。
注目されることはあってもここまでタガが外れたように騒がれた経験はないから、ちょっと緊張して拳を握った。



