「――うわ、なんだよお前。般若みたいな顔してっぞ。」
終業のチャイムの後、まだ席に残っている私の側を通りかかったドン引き顏の金髪に言われた。
うるさいよ、っていうか同じクラスだったのかよ、存在感がてめーの身長並みで気づかなかったわよ。
その派手な金髪はなんのための金髪よ。
「………。」
…なんて元気に言い返したいところだけど、そんな気力もなく一睨みした後深く溜息をついた。
「金髪はいいわね、頭と身長以外に悩みがなさそうで。」
「おいどういうことだコラ。」
キリキリし出した金髪を全く相手にせず頬杖をついてそっぽ向く。
授業中ずっと頭の中は近江涼介だった。
――なによ、あの態度は!
私が危険に曝されてるっていうのに、飄々としちゃってさ。
私、が…
……あれ?私って…
「あ、まーくんおまたせ〜。」
腑抜けた声に教室が湧く。
榛名聖の登場だ。
女共の歓声に応えて、のんびりと手を振り応じながら教室の中まで入ってくる。
「聖!帰るか。」
金髪は鞄を肩にかけ直す。
「涼ちゃん待ってるよ〜、早く行かないとね。」
私達の目の前まで来るも、私になんか目もくれない。
そのまま私を置いて金髪と2人で去って行こうとする。
絶世の美少女が側にいるのに、だ。
またしても心がモヤッとする。眉根がギュッと近くなった。
…というかいつもなら、
「あ〜、藤澤ちゃんも元気〜?」とか言うじゃんか。
「は…」
「顔が怖いよ、藤澤ちゃん。」
呼びかけた声を遮り1度だけ振り向いて、榛名聖が綺麗に笑う。
「自慢の美少女が台無しだよ〜?
……なんでそんな顔になっちゃったのかな?」



