姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


何でもない顔をして窓の外を見ている広瀬真の方を見る。

人のいいコイツのことだ、本当に何でもないことなのかもしれない。
――でもこれは、当たり前ではないことなわけで。

「…広瀬真!迷惑かけてごめ」
「別に謝ることじゃないだろ。」

「ん」と発音しようとした唇にちょっとだけ力が入る。

じゃあこういう時に言うべき言葉はなんなのだろう?


「あー……でも。」

考えていると広瀬真の視線が上を向き、少し間を置いて私の方を向いた。

「すぐ謝れるようになったのは成長だな?」
「…………ッ!」

揶揄うような憎い笑顔。

瞬間、モヤモヤしていたことも忘れて体温と眉が吊り上がる。

「アンタだってごめんね初心者だったくせに生意気!」

()って!なんだよそれ、つーかお前と一緒にすんな!」

私が広瀬の肩に思い切り頭突きを喰らわせたことで、急に賑やかになる車内。

高級車にそぐわぬ喧しさで学校まで向かったのだった。