姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


日頃の行い?
ああ、「真くん♡」ってやるやつのことか。

「ちーがう違う!あれは女共に見せつけるためにやってるだけ!
注目されるのはおまけ。美少女の宿命。」

「そーかよ……。」

広瀬真はすっかり脱力した様子で口端をヒクつかせている。

「注目されたからって何があるわけでもないし。
ただ周りがうるさくなるだけじゃない?」

今まで自分を取り巻いてきた環境を思い出す。
みんなが私を見てるのに、そこに“私”はいない世界。

「私が美少女過ぎて騒ぎたくなる気持ちは正しいけど、見た目に引っ張られて勝手に中身を決めつけられるのもウザいし――……」

ずん、と心が沈んで黙り込む。

ふと隣を見れば、広瀬真は驚いた顔をしてまじまじとこっちを見ていた。

「――なんか変なこと言ってる?私。」

「……いや。真面目な本音が聞けてびっくりしてる。」

「なにそれ、意味わかんない。」


そんな反応をされたら、語ってしまった自覚がある分何だかちょっと恥ずかしくなってきてしまう。

照れ隠しに窓の外に視線を移すと、広瀬真が屈んで私の顔を覗き込んできた。


「そーだよな、姫にもいろいろあんだよな。」


真面目にまっすぐ見つめてくる、凛とした猫目。
何1人で勝手に納得してるのさ。

「……なんかムカつく!」

頬の熱さを隠すように思いっきり顔を顰めて、低い位置にある広瀬真の頭を上から思いっきり押してやった。