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靴を持って校舎の中に戻る。
生徒玄関の真反対に位置する職員玄関から外に出た私たちは、裏門を出てすぐのところに停まっている広瀬真の家の車に乗り込んだ。
高級感あふれる車内で、私は気まずく小さくなっている。
隣には般若顔の広瀬真。
静かな車内は地獄の空気だ。
「後先考えずに変なことするから大変な目に遭うんだろーが!」
ものすごい剣幕で叱られているけど、助けてもらった手前何も言えない。
せめてもの抵抗で掌で自分の両耳を覆い、強く目を瞑って説教をシャットアウトした。
「だぁーって榛名聖に元気出しして欲しかったんだもん!
楽しい気持ちになれば寂しく無くなると思ったんだもーん!」
意外にもこの言い訳が効いたのか、広瀬真の勢いがぴたりと落ち着く。
急に静かになるから、私は恐る恐るぎゅっと閉じていた目を開けてみた。
「安直バカ。ちょっとは後のことまで考えろ!」
言いながら、シートに腰を鎮め出した。
それでもフンと鼻を鳴らし腕組みをして、“まだ怒っている”と態度で表す。
「……てっきり注目されたくてやったんだと思ったわ。
日頃の行い的に。」



