姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―

何にも話題がなくておしゃべりできなかった真くん時代を思えば、随分成長したなとも思うし。

「もー、朝からマジメ。それ学校着いてからでいい〜?
それより聞いてよ、昨日ひーちゃん()でさぁ…」

こっちのペースに巻き込むと、アセアセしながら真面目モードから話聞くモードに頭を切り替えようとするまーくん。
こういう不器用さは真くんのままだよねぇ。

「――ってことがあったわけ。可笑しいでしょ〜?」

あはは、と軽快に笑って話を締めると、まーくんは複雑そうな顔をしている。

「…聖はそんな頻繁にアイツの家に通ってるのか。」

(感情がわかりやすいなぁ。本人は自覚してなさそうだけど。)

話の内容入ってました?ってくらい話題に合わない応答をするまーくんを生暖かい目で見る。

「んー、そうだねぇ。週2、3回くらいかな〜。」

態とらしく人差し指を顎に当てて宙を見る。
ちらりとまーくんを盗み見れば、ちょっと面白くなさそうな顔をしている。

(こういう鈍感な人を揶揄うのって面白いんだよねぇ。)

込み上げる悪戯心にニヤついてきてしまうけど、ここら辺でやめておく。

万に一つの間違いが起こって、自覚しちゃったら大変だから。

(んー。でもつつきたくもなる〜。我慢我慢っと。)

「さっ、まーくん。ちょっと急がないと遅刻するよ〜?」

空気を切り替えるようにまーくんの背中を叩いて走り出す。簡単に乗せられたまーくんも慌てて一緒に走っていった。