一方こちらは近江涼介の不可解な行動に、初めて人間に出くわした野良猫のようになっている。
(……いや!ここで何もしなかったら負ける!)
自分を奮い立たせて、勢い良くマシュマロを大口開けて一口で食べてやった。
勢い余って近江涼介の指まで噛んでしまったけど、そんなの敗北の前にはさしたる問題ではないのだ。
「痛って…。」
噛まれた指を見ながら眉を顰める近江涼介を、これでもかと睨みつけながらモグモグとマシュマロを咀嚼する。
甘くてふわふわした味が口いっぱいに広がって、忘れていた空腹を復活させた。
「あっれぇー!?“涼ちゃん”!?」
近江涼介にもっとお菓子を寄越せと迫る中、不意に人混みから一際大きい声がした。
近江涼介を“涼ちゃん”なんて呼ぶ奴は榛名聖くらいだけど、榛名聖の声ではない。
“涼ちゃん”と呼ぶ声に反応して人混みの方を見ると、高校生くらいの男子6人グループがこっちを見て立ち止まっていた。
――誰?
親しげに呼ぶ明るい声に、近江涼介の顔が凍りついた。



