前触れなく呼ばれたから、驚いて肩がビクッと揺れる。
触れ合っていた指があっさりと離れていって、体温を感じなくなった分そこに触れる空気だけは涼しかった。
「マシュマロ食う?」
近江涼介が自分の小物入れをゴソゴソやっていると思ったら、唐突に私の目の前に小包みに入ったマシュマロを出してきた。
さっきやった射的の景品のお菓子詰め合わせの中のひとつ。
作り物みたいな端正で涼やかな顔立ちと、気の抜けるようなパッケージの駄菓子とのミスマッチに拍子抜けしてスンとする。
なんなら怒りすら湧いてくるほどだ。
「食べる!!」
マシュマロを奪い取る前に近江涼介がそれを自分の方に引き寄せ包を開け始めたので、私の手は空を切った。
「幼稚すぎるイタズラかよ!?」と肩を怒らせ威嚇の構えを示すと、マシュマロを摘んだ手がまたこちらへと戻ってきた。
「ん。」
「?」
眼前にマシュマロを突きつけられ、下目遣いで見つめられている。
いつも真っ直ぐに結ばれた口が薄らへの字になっていて、ちょっとだけ子どもっぽく見えた。
(なにこれ?食えってこと?)



