姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


「ご機嫌直してよ〜、ひーちゃぁん。」

参道から外れた隅っこで、私ははち切れそうなくらい頬を膨らませ拗ねている。

広瀬真は「ガキかよ」と苦笑いし、近江涼介も呆れている。

そんな中、榛名聖だけが私のご機嫌取りをする。
――まぁ、面白がっている心の内がビシバシ伝わってきているけれど。


「ほーら、かき氷食べる?俺の食べかけだけど。
はい、アーン。」

榛名聖は溶けかけの赤いかき氷を一口掬って私の口元に近づける。

拗ねた態度は継続しつつ、ぱくりと口の中へ入れた。

うん、甘い。

安っぽい定番のシロップの味が口に広がって、独特の香料の匂いが鼻を抜けていく。

蒸し暑さを和ませる冷たい甘さに、ちょっと怒りも収まってきた。

「おいしい?ほら、もっとお食べ〜。」

私のご機嫌が上向きになってきたことに気づいた榛名聖はどんどんかき氷を私の口に入れてくる。

それを一口目からギョッとして見ていた広瀬真が、私と榛名聖を指差ししてワナワナと震えていた。