姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


「俺の家、二駅先。ここほぼ地元。」


(ええー!?そうだったの!?)

びっくりして開いた口がさらに開く。

私はつくづく近江涼介達の生態を知らないな、と実感した。

「じゃあ知り合いとかいるんじゃなーい?

友達……は、いないか。だって近江涼介って無愛想だもん……」

揶揄ってから近江涼介を見て、ハッとした。

その表情はいつも通り無。
だけど、“触れてくれるな”というオーラを発していたから。

……と同時に、去年の夏休みの出来事を思い出す。


『あんまりいたくないから?家とか地元に。』


夕日に照らされた、あの時の暗い顔。

(そうだった、訳アリなんだった。)

喧騒の中に気まずい沈黙が流れる。
さてどうしようと思っていると、榛名聖の気の抜けた声が割り込んできた。

「ひーちゃん涼ちゃん、射的やろうよ〜。」

「……うん、やるやる!」

救世主……!とホッとして、ぎこちなく榛名聖が手招きする方へと走る。

近江涼介もひっそりとため息をついて、私の後から歩いてきた。