姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


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「いや〜助かったよ〜。来る途中3人バッタリ会ったはいいけど、そしたら囲まれちゃってねぇ。」

「疲れた。」

「道中ずっとギャーギャーうるせえし歩き辛ぇし最悪だったわ。」

私に敗北を認めて女共が去っていた後。

清々しく伸びをしたり欠伸をしたりする浴衣姿の3人を、私は笑顔で見ている。

そして唐突に1人ずつ順番に肩にパンチをくらわせた後、近くにいた広瀬真の胸ぐらを掴んで引き寄せた。

「おっせぇよ、私がどんだけ待ったと思ってんの?」

「わぁ〜、ひーちゃんガラ悪い⭐︎」

「なんで俺だけ締め上げられてんだよ…ッ!」

「まずは謝りやがれバーカ♡」

胸ぐらを掴んだ手をそのまま天に向かって上げて、笑顔で広瀬真を締め上げる。

この私を待たせた挙句謝罪の一つもないなんて、命があるだけ感謝してほしい。

「遅れて悪かった。」

広瀬真がギブアップを訴え私の手を叩き始めた時、近江涼介が無表情のまま私を見てその頭をポンと叩いた。

次いで、それでお終いとでも言うように黙って神社の鳥居に向かって歩き出す。

(……ずるい。そう来られると何も言えなくなるじゃない)

そう思っても近江涼介は待ってくれない。

チッと舌打ちしてから締め上げていた手を離し、どんどん離れていく背中を追いかけた。