姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


今日はみんなで行こうと約束していた夏祭り。

暗くなったら近くの河原で花火も上がる。

だから明るい内に集まろうってことになったのに。


会ったらまずはシバく。1人3発は入れる。

心の中でシャドウボクシングをして拳を温めていると、神社前の通りで向こうから黄色い歓声が聞こえてきた。

「お兄さん達、今からお祭り行くんですかぁ!?」

「あのっ、私達もなんですぅ♡よかったら一緒に回りませんか?」

その群れを目で捉えると、私の心のスイッチがカチッと入った音がする。

カラコロと涼やかにゲタの音を鳴らしながら、静かにそこ近づいた。

「ものすご――――――く賑やかですね♡
お祭りだからってはしゃぎすぎじゃありませんかぁ?」

鈴の鳴るような可憐な声に、喧騒が一瞬静まり返って全員が私に注目する。

私の友達に群がる女共が怯んだ瞬間、トドメを刺すように天使の笑顔をお見舞いしてやった。

「もう、遅いから心配したよ?近江くん達♡」

女共が一斉に表情を引き攣らせ、私が一歩進むごとに気まずそうに道を開けていく。

その中心で、榛名聖は助かったとばかりに微笑み、広瀬真はまたやってるよとうんざりし、近江涼介は我関せずの無表情。

浴衣姿の3人が、女共の目線にはさぞ艶かしく映っているのだろう。

でもそんなの私には関係ない。

三者三様の反応をする3人の元まで辿り着くと、振り返って改めて女共に威圧するように微笑みかけた。

「そういうことなので、ね?♡」