大きくなるにつれて、悪口も変化していく。
「藤澤さんが、誰々ちゃんの好きな人盗った!」
「誰々くんに近づかないで。」
「人の彼氏誑かすのやめてくれる?」
――私は何もしてないのに。
因縁つけられていじめられる日々。
……小学生の頃は殴り合いに持ち込んで全員返り討ちにしてやったけど。
中学の頃はいじめも陰湿化。
持ち物を隠されたことや、教科書に落書きされたこともある。
「“男好き”“淫乱”“死ね”……」
だから国語の授業で音読を指名された時に、悪口全部淡々と読み上げてやった。
あの時の凍りついた教室の空気と女共の絶望した顔が忘れられない。
後日、やめよういじめの全校集会が開かれた。
――そして、中2の秋。
私に人生の転機が訪れる。
木枯らしが吹く校舎裏に呼び出され、睨みつけてくる女共に囲まれている。
だけど私は側の木に凭れて腕を組み、余裕綽々で鋭い視線を刺し返す。
ハッ、と挑発的に笑ったのが、女の癇に障ったらしい。
「――“可愛いから”って調子乗ってんじゃねぇよ!」
鮮烈なビンタと共に言われた言葉は、私の脳みそに大インパクトを与えた。
「――ふ、ふふ……」
可笑しくもないのに笑えてくる。
これぞまさに青天の霹靂。感謝してやらんこともない。
そうか、私は“可愛いから”虐められていたんだ。
だったら……やってやろうじゃん。
それから私は努力した。
そりゃもう血の滲むような努力だ。
メイクや可愛く美しい所作、言葉遣いを研究し、美しさに磨きをかけた。
帰ってから寝るまでずっと勉強し続け、この辺随一の進学校にも入学できるくらいの成績になった。
家事もスポーツもなんだって全力投球した。
そうしてジャガイモ(男)共の理想を具現化した“清楚で可愛い完璧な美少女”を創り上げ、全員虜にしてやった。
――これが高校1年生になった現在まで続く、私の復讐だ。



