海の家の店先で、かき氷とドリンクの店頭販売を任された。
傑はドリンク、涼介と美咲はかき氷係。
かき氷機の前には長蛇の列ができている。
「涼介くん、次イチゴとメロンね!」
「……はい。」
かき氷に、そっとシロップをかけただけ。
それだけなのに客はほぅっと幸せなため息を吐き、恍惚とした顔をしていた。
「どーぞ。」
無表情ではあるが一応言葉を添えたのは仕事だからだ。
珍しく目の前の客を風景ではなく人として認識して顔を見てくれる。
だからかき氷を渡す瞬間だけは、汗で濡れた色っぽい黒髪から覗く、切れ長の瞳に見つめられている気分になれる。
「キャァア!」
涼介がかき氷を差し出すと奇声に近い悲鳴が上がる。
茹でタコになった女が倒れていった。
……これをみんながやるから、列が全く進まない。



