姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


これ以上逃げられなくなると、広瀬真は腕で顔を隠して私から目を逸らす。

その隙間から僅かに覗くバツが悪そうな表情。
心なしか耳が赤い。


「……何だよ!」

腕の隙間からキッと強く睨まれた。

「何って何よ!アンタが逃げるからでしょ?」

チケットの束でペシペシと広瀬真の肩を叩く。

すると、広瀬真は視線を私と海とを行ったり来たりさせながら、唇を僅かにモゴモゴと動かした。


「目のやり場に困んだよ……!」


その声はあまりに小さくて、私の耳には届かない。

だからずっと意味不明な言動をしているように見える広瀬真に痺れを切らして、チケットの束を握りしめた。


「はぁー?何言ってんのかわかんない!
もーいい、私が全部チケット捌くからアンタはそこで見てなさい!」

言いながら広瀬真に向かってあっかんべーをした後で周りを見渡す。

すると惚けた様子のジャガイモ2人組と目が合ったので、にこやかにジャガイモ達の元へと走った。