姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


「お兄さん、私達食事できるとこ探してるんですけどぉー……
案内してもらえませんかぁ?」

甘えた猫撫で声。
さりげなくビキニから溢れそうな胸を寄せたり、髪を耳にかける仕草をして露骨なアピールで広瀬真の反応を誘う。

「あー、ハイ。あそこに見える海の家に行けばいいっすよ。
よかったらこれどーぞ。」

それなのに広瀬真は一切興味を示さず、シラけた様子で淡々と値引きチケットを渡す。

「もういいっすか?」

拍子抜けして固まっている女共の横をため息と共に無愛想に通り過ぎる。

そのつれなさにあわよくば私も、と遠巻きに様子を見ていた他の女も寄ってこなくなってしまった。

「ちょーっと広瀬真!無愛想禁止!
もっとにこやかにチケット捌きなさいよ!」

距離を取るのは客寄せの作戦かと思ってたからほっといたのに。

違うならばと広瀬真に駆け寄る。

その目が私の姿を捉えると、なぜか表情が険しくなった。

「…っ、こっち来んな!」

「なんで逃げるの!」

「来るなって言ってんだろ!」

「じゃあ止まりなさいよ!」

一歩近づけばその分離れるの繰り返し。
気付けば私は広瀬真を波打ち際に追いやっていた。