姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


「ごめんなさぁい……。」

失礼なヤロー共の目の前で、徐にサングラスとフェイスガードを取り払う。

――現れたのは、海に似合わずの雪の様な白さの玉肌美少女の私・藤澤 姫様だ。

「サングラスでよく前が見えなくて。」

困ったように眉尻を下げて、上目遣いできゅるんと見つめれば、ヤロー集団に衝撃が走る。

「ぜ、全然!むしろ大丈夫でしたか!?怪我とか!」

「こんな重たい看板持って暑い中歩いてたら大変ですよ!
俺、持ちましょうか!?」


よしよし、私に対する正常なリアクションだ。

日焼けで赤くなった顔をさらに赤くしながら、興奮気味に私に迫るヤロー共に心の中で満足して頷く。

もちろん見かけ上は天使の笑顔だ。


――すると、唐突に私達の間にスッと腕が伸びてきて、これ以上の接近を制された。

「スイマセン、コイツ見かけ倒しの凶暴女なんで。
近づかない方がいいっすよ。」

広瀬真の登場だ。
太陽に反射して輝く金髪が、ロケーションも相まってチャラい。

ただ、大きな猫目を鋭く細める凛とした顔立ちが、そのチャラさを打ち消している。

「ひーちゃん探したよぉ、ダメじゃない。
すぐいなくなるんだから〜。」

耳元で榛名聖の緩い声がした。
私の両肩に手を置き、私の顔横で妖艶な笑みと視線で牽制する。

こなれ感のある柄物のパーカーから覗く鎖骨が、異様な色香を放っている。

――派手な男達の登場に、ヤロー共の顔はどんどん固くなっていく。