姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


AM 9:00

なんてことない授業風景。

進学校の、しかも成績上位を集めたクラスなもんだから、ふざける人は愚か居眠りする人もおらずみんなが真面目に授業を受けている。

ちなみに今の時間の授業は英語。
担当は50歳くらいのおばちゃん先生だ。

「Hey,Mr.Hiziri. How are you?」

「I overslept so I might not be feeling well.」
(寝坊したので調子が悪いかもしれません。)

「Really? It doesn't look like it at all!」
(本当?そんな風には見えないけど!)

全然元気そうなへらへら笑顔で答えた榛名聖に、おばちゃん教師が上機嫌で高らかに笑う。

これは英語の授業恒例の光景。
まあ、つまり、榛名聖は彼女のお気に入りって事だ。

その光景を私のみならずクラス全体が冷ややかな目で見ているけど、おばちゃん教師は全く気にならないらしい。

榛名聖推しの女共なんか、睨みつける勢いで見ているって言うのに。

「Hey,Ms.Fuzisawa. How are you?」

おっと、今日は私の番か。

榛名聖とひとしきりおしゃべりした後は、いつもランダムに他の人が数人当てられるのだ。

「アイム ファイン、センキュー♡」

愛想よく笑ってそう答える。

英語に親しんでこなかった人間の発音なんてこんなもんだ。
だけどおばちゃん教師はチッチと舌打ちして人差し指を振る。


「Your pronunciation is bad. Learn from Hiziri !」
(発音が悪いですよ。聖さんを見習って。)

う、うるせーーー。


他の奴の時はテキトーに「OK.」とか言ってたクセに。
私にだけ難癖つけてくるのは絶対私怨入っている。


お陰で女共にはクスクス笑われた。

「あとで教えてあげるねぇ⭐︎」

後ろを振り返った榛名聖も、笑いながら小声で私を馬鹿にする。

「昼休み、覚えてなさいよ」の意を込めて、眉を顰めてイーと口を横いっぱいに伸ばす。

そのやりとりがおばちゃん教師に見つかって、今日は私怨で散々当てられ発音を指摘されまくってしまったのだった。