姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


「姫が嫌なこと言ったんだって?」

ずっと空いたままの俺の取皿に唐揚げを2つよそって渡す。

「……ごめんね、気が強い上に友達付き合いなんてしたことなかった子だから。
悪気ないとは思うんだけど、嫌な思いさせちゃったよね。」

――妹のフォローをするためこの場に自分を呼んだのだろう。

そう察して、だから気まずくなってしまう。

「いや、ひー……姫さんは悪くなくて、俺が嫌なことを言った側で……」

ひーちゃんを大切にしているお兄さんにこんなことを言って、どんな反応をされるだろうかと変に緊張する。

それなのに、渉さんの顔は何故か嬉しそうな笑顔だった。

「……へぇ、そうなんだ!
それで、仲直りしてきたの?へぇー。」

意味がわからず、返答に困っていると、渉は「食べて食べて」と食事を勧めてきた。

「ああ、ごめんね。意味わからないよね。
姫が友達と仲直りしようとしたんだって思ったら嬉しくてさ。」

勧められた唐揚げを一口齧る。
時間が経ってしまって少し冷めているが、温かい家庭の味がした。

「ほら姫って、やられたら100倍返し!って性格でしょ?
冷たくされると“もういい”ってすぐ切り捨てちゃうからさ。――強がりなんだけどね。」

この人は、ちゃんとひーちゃんを見てるんだ。

彼女が愛されているのがありありとわかる。

ほんの数時間前の俺だったら、自分の境遇と比べて腹が立ったり落ち込んだりしてるだろうなぁ。