「普段からそーやってりゃいいのに、妙なことしてっからブチギレんだよ!」
状況整理が追いつかず、完全に思考停止して固まる。
女のピンチを救った王子共に、女共は赤くなって騒いでいる。
「君らも駄目だよ~?
こんな集団で一人をいじめるなんて。」
「どっちかって言うとひとりが集団をいじめてたけどな!」
「まーくんは黙ってなさい。話がややこしくなるから。」
…………。
こいつら一体何しにきたの?
榛名聖がやさしーく女共を窘めると、さっきまでの怒りは何処へやら、すっかり腑抜けた様子であっさり撤退していった。
イケメンの言う事には素直に従うのね。
シラけて冷静さを取り戻す。
残ったのは私とH2Oの3人。
榛名聖は未だ未練がましく振り返る女共に愛想よく手なんか振っちゃってて。
金髪は心底お疲れ、といった様子で肩を回してストレッチ。
近江涼介はというと。
「……離してよ。」
無表情無言のまま、私の手首を掴んで離さない。
取り乱して喚き散らした所を目撃された上でぶりっこする気にもならなくて、掴まれた手を荒く上下に振ってみる。
もう掴みかかる相手はいないし、すっかり頭冷めてるから大丈夫なんだけど。
口で言っても、行動で示しても近江涼介は手を離さない。
せめてなんか喋ればいいのに。
「お前」
そんな嘆きが伝わったのか、榛名聖のお色気ボイスでも、金髪の喧しい喚き声でもない、凛とした低音が鼓膜を震わせた。



