恋を歌うバラードはいよいよサビを迎えるところで、大音量のBGMだけが画面上の歌詞をなぞり流れていく。
「で?ひーちゃんは結局何がしたいの?
無駄に空元気だし。相当無理してるでしょ。」
ウッ、バレてる。
ジト、と上目に睨む榛名聖の追求に、思わず目を逸らしたことが肯定の証だ。
「う、うるさいうるさい!楽しんでるんだから!私は!
だから榛名聖も、ハイ!笑って!」
ソファに片足乗り上げて榛名聖を見下ろすような態勢を作る。
そして、人差し指で奴の両口端を無理やり引き上げ笑顔を作らせた。
私も、「真似しろ」と言わんばかりの満面の笑顔を作る。
「……ウザいよ、そーゆーの。」
目を逸らして、ほんの少し頬が赤い。
榛名聖は私の両手首を緩く掴んで、自分の口元から手を離させる。
その言葉はなんとなく本当に嫌そうには聞こえない。
榛名聖の心が緩む気配に、私はにっこりと笑った。



