姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


言いがかりで責められることが悲しかった。

なんとか見返してやろうと思った。

理不尽に仲間外れにされる、正当な理由が欲しかった。

「あんな男共どうだっていい!
ただアンタ達が勝手な思い込みで私を責めるから、復讐してやろうって……!」

止まらない、止まらない。

血液がグツグツと沸騰して、血管が切れそうなくらいの怒りはいつまで経っても収まらない。
唖然としている女共の間をドスドスと前進して、知らない名前を吐いた女の眼前に迫る。

……完全に怯え切った顔をしている。
ヒッと大きく息を呑んだ音が聞こえた。

「私、アンタの男に手なんて出してない。」

掴みかかってやろうと手を伸ばしかけた、その時。

「はぁーい、そこまで〜⭐︎」

緩い声と共に誰かに誰かに手首を掴んで引き上げられた。
骨張ったその手の握力は、暴走を許さないかの様に強いのに優しい。

「!?」

女共悲鳴が黄色い興奮気味のものに変わる。
驚いて怒りの緊張感がぷつりと途切れた。


上に高く掲げさせられた腕を視線で辿り、手首を掴む奴の顔を見れば――近江涼介。

場のテンションにそぐわず、その無表情は凪のよう。

そして奴の肩に手をかけ、その影からひょっこりと榛名聖が顔を覗かせた。

「だめだよー?藤澤ちゃん。
今のは完全に八つ当たりだ。」

「めっ」とでも言いそうに顰めた表情が、二言目には妖しく光る笑みに変わる。
私と女共の間には呆れ顔の金髪の立ち塞がっていた。