姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―



「ちょっと!まだ着替えてなかったの!?」

オーバーサイズのTシャツにショートパンツ、ちょっとメイクまでして可愛さ増し増しになった私の登場だ。

それを証明するように、傑兄ちゃんは「かわいい!」とデレデレしている。

「もー!時間ないんだから早く着替えて!
あっ、制服は一旦ここ置いといていいから!」


有無を言わさず榛名聖の制服のボタンに手をかけようとした私を制して、榛名聖は私に後ろを向かせて着替え始める。

少し時間が経った時、榛名聖が急に口を開いた。


「ひーちゃんちって、親はどうしているの?」

「え?仕事でほぼ家にいないけど。なに、急に。」


唐突な質問に意図が分からず眉を顰める。

後に続く言葉はなくて、私は首を傾げたまま榛名聖は着替えタイムを終えた。

ガタイのいい渉兄ちゃんのTシャツが榛名聖には少し大きい。

でもそのサイズ感が程よくチャラく見えて、もともと不真面目そうな榛名聖の見た目によく合っていた。