――1人きりになったリビングで、聖は観念して学ランを脱ぎワイシャツのボタンに手をかける。
ふと視線を動したとき、棚の上に並んだ家族写真を見てしまった。
前に来た時は意識して見ないようにしていたもの。
幸せそうに笑い合う、家族。
欲しかったものがそこにある。
持っているのは自分自身ではないけれど。
心が翳って目を伏せる。ワイシャツの襟口を掴む手に力が入った。
「かっわいいだろー?その写真。」
リビングのドアが閉まる音で、我に返る。
何も知らない傑は渉の部屋から持ち出したズボン片手に聖の横に並んだ。
「小さい頃から本物のお姫様のようなんだよ、姫は。
ほらっ、この笑顔とか最高だろー?」
「……はは、まぁ、そうですね……?」
“話を合わせた方が無難”
そう判断してすぐにそうできるのは聖の処世術のなせる技だろう。
若干無理をしている乾いた笑いではあったけど。
傑は数ある写真立ての中から、ひまわり畑の真ん中で笑っている小学生くらいの姫の写真を指さし愛おしそうに笑う。
見たくもないのに見なければならない。
焦点を合わせないように視線を向けた。
(……親が写ってない写真が多い?
――いや、カメラマンをしてるからか?)
違和感を持った時、傑がやるせなさそうにボヤいた。
「でもさ、こーんな可愛いのにウチの親はあんまし姫に興味なかったんだよなー……。
仕事人間ってマジでクソ。」
(――過去形?)



