姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


それから毎日、俺は涼ちゃんと一緒にいるようになった。

旧校舎という隠れ家を見つけて、静かな生活も手に入れた。


『うちの親がさ………』


――そんな嫌いな音に耳を塞がなくていい、穏やかな時間。

(ぬるま湯みたいだなぁ。)

一緒にそこにいるだけで、会話はそれほど続かない。
だけどそれがちょうどよかった。


涼ちゃんには無視されることも多いけど、ぽつぽつ話してくれることもあって。

「聖のその変な喋り方と笑い方、どうにかなんない?」

「え〜、これぇ?でも俺、ずっと前からこうだしな〜。」

横目で俺を見つめる涼ちゃんに、俺はわざとらしく肩を竦めて笑いかける。

涼ちゃんって、時々心の中を見透かしてくるような目をすることがある。
そこはちょっと苦手だ。

「……あっそ。」

あ、諦めた。

しばらく見つめあった後、涼ちゃんはフイと俺から目を逸らしてまた読書に戻る。

(ま、詮索はしてこないから楽なんだよねぇ。)