単調で温くてハッキリしない会話を繰り返しながら、私達はプリクラの機会が立ち並ぶスペースへと辿り着く。
「ね!プリクラ撮ろっ!
これならいいでしょ?姫ちゃん。」
前髪パッツンはするりと私の腕に自分の腕を回す。
背筋がゾワっと逆立って、さりげなくその手を振り解いた。
派手なモデルが映る幕がかかったプリクラ機。
見覚えがある。
アイツらとの騒がしい会話が蘇って、思わずポロリと呟いた。
「アイツらとも、撮ったな……。」
3人の目の色が変わる。
私にその視線が一斉に集まった。
「榛名くん達とも遊んだりするの?」
ユルケバが待ってましたとばかりに急に距離を詰めてきた。
「近江くんとプリクラ撮ったの?
えー……、見たい見たいっ」
無邪気に笑う前髪パッツンの目に、興奮と嫉妬が爛々と映っている。
……気持ち悪い。
さっきまでキラキラして見えてた世界が、一瞬で嘘くさく見えてきた。
2人の目は大きく見開いて、それなのに口元は私が警戒して逃げない様に不自然に笑っている。
――笑顔の裏に隠している感情が、いつも私を傷つけるって知っている。
(……私を足がかりにして、アイツらに近づこうって魂胆だったか。)
“欲しかったものかも”
……なんて、騙されちゃって情けない。
あー……なんだか今、無性に奴らに会いたい。
「用事思い出した!帰る。」
笑ってやるのももうおしまい。
前髪パッツンが「待って」とかなんかごちゃごちゃ言っているのを全部無視して、背を向けさっさと歩き出す。
ごめんよ、小さい頃の私。
欲しかったものはここにはなかった。
……でも、もっと大事なものに気付いたの。



