目に見えるものは相変わらずキラキラとしている。
可愛いお洋服やコスメ。
カラフルな世界。
周りには私に好意的に笑いかけてくる女達。
見栄え良く綺麗に商品が並ぶ店内で、私と同じ制服の女達はリップの色ひとつで盛り上がっている。
“姫、女の子の友達が欲しいよぅ……”
――あの頃欲しかった光景が、今目の前に広がっている。
なのに、なんで。
自分がここにいないみたいに感じるんだろう?
「藤澤さん、大丈夫?」
色付きのリップを掴んだままぼーっとしていた私の顔を、地味メガネが心配そうに覗き込む。
「別に?――そうだ!
これ、小林さんにどうかなぁ?」
持っていた淡い桃色のリップを地味メガネに差し出してみる。
色白で黒髪がよく映える彼女に似合いそうだと思ったのは本当だ。
「えっ私……!?……私は似合わないよ。
メイクとか、したことないし、よくわからないし…。」
地味メガネは慌てて勢いよく首を振り、そして困った様に頬を掻いて自虐する。
(ならなんでさっきは友達に合わせて、そのコスメいいって頷いてたの?)
ただ周りに合わせるだけの相槌マシーンみたいだ。
ちょっとだけムカついたから、彼女の手を取ってリップを握らせてみる。
「色白だから似合うと思うよ。試してみたら?」
地味メガネの頬が少し赤らんで、口がへの字になる。
自分から手の平のリップを握り締めたのを見て、私はほんの少しだけ満足して頷いた。
「えー!円ばっかりズルい!」
どこから聞いていたのか、前髪パッツンが地味メガネの背後からひょっこり顔を出す。



