姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


2週間後、旧校舎のいつもの教室に集う私たち4人はゲッソリしていた。

みんなで囲んでいるテーブルに置かれた紅茶の香りにほんの少し慰められるけど、飲む気力も湧かないほどだ。


「どうなってんだよ毎日毎日…どこへ行ってもギャーギャーワーワー、死にそうなんだが。」

広瀬真が盛大なため息をつき、椅子から崩れ落ちそうになって天井を仰ぐ。


結局新学期初日から今日まで、正門をくぐってから帰るまであの騒ぎが一日中続く状態が続いている。

静かなのは旧校舎に避難できる昼休みだけだ。あと、授業中。


「私なんてこの間トイレの前まで着いて来られたんだから!もうウザイ!きもい!最悪っ!」


ワッとテーブルに突っ伏して悶える。

初日こそ状況を利用して楽しんでいたけど、ああも毎日囲んで騒がれたら流石に参ってしまうのだ。


どんよりとしたため息を吐く私と広瀬真の間で、無表情なんだけど多分うんざりしている(雰囲気を感じる)近江涼介が紅茶を一口飲んで口を開いた。


「聖、原因。」

「オッケー涼ちゃん。ちゃーんと調べておいたよ〜。」

待ってましたとばかりに榛名聖が明るく笑う。


あ、この人元気だ。暗くなって落ちた気分の時にその明るさは鼻についたけど、ツッコむ気力はなかった。


「みなさんご注目〜。久しぶりの紙芝居タイムだよぉ⭐︎」

どこから取り出したのか、ポップな絵柄の紙芝居をテーブルに設置する榛名聖。
そこにはこれまたポップな書体で“ここ最近の騒ぎの原因”と書かれている。

深刻な問題なのに、全く緊張感がない。

何か言う気力がない私と広瀬真は、項垂れたまま冷めた視線でそれを見る。
近江涼介は優雅にお茶を啜りながらなんてことない顔で状況を受け止めている。

榛名聖もこの冷え冷えの空気などまるで気にもせず明るい口調で紙芝居を捲り、話し始めた。

この騒ぎの原因は大きく2つ。

1つ目は、みなさんご存知「H2Oファンクラブの抑止力の弱まり」。

鉄の掟絶対主義の元・3年生が抜けて、ちょっと秩序が乱れて来た。
そこに“元々H2Oの存在を知ってて”入って来た新入生が暴走して、大混乱が起こってるってワケ。

――2つ目は、“ひーちゃんの存在”。