「あああのっ……!僕、あなたに会いたくて受験頑張りました!」
「藤澤先輩!俺、中学同じだった小林です!覚えてますか!?」
その場にいた新入生のジャガイモが、私目掛けて押し寄せて来た。
こっちは陰キャの親衛隊は存在してても、無法者をセーブしてくれるファンクラブなんてない。
あっという間に囲まれてしまって身動きが取れなくなった。
「あー……ありがとう♡でも、私、ちょっと急いでて……!」
きゃぴ♡と可愛く笑ってあしらおうとする――
が、私に遭遇できた興奮で新ジャガ達は少しもどこうとしやしない。
もう校舎へ入らんとするH2Oがこの騒ぎに気づいたのか、ちらりとこっちを見た。
だから咄嗟に助けを求めようとしたのに、自分より大柄な集団に囲まれてしまって見えなくなった。
こういう時は薄情な奴らだ。
どうせやれやれとかザマァミロみたいな顔してさっさといなくなってしまうに決まってる。
もう諦めて自分の力でなんとかしよう――
そう思った時だった。
「はいは〜い、ちょーっとごめんねぇ⭐︎」
私を囲む人混みの向こうから、のんびりと落ち着いた声がした。
途端に騒ぎが収まって、静まり返ったジャガイモ達が次々道を開けていく。
「ったく、何やってんだお前は。無防備に囲まれてんじゃねぇよ。
ほら、1年共も散った散った!やめとけこんな口悪いヤツ!」
広瀬真がシッシッと取り巻きを手で払う仕草をしながら、空いた道を歩き私の元までたどり着く。
――辺りに動揺が広がった。
「遅刻するぞ、姫。」
道の先では近江涼介が待っている。
予想外の展開に不覚にも思考停止してしまった。
広瀬真にぶっきらぼうに手を惹かれ取り巻きの中から抜け出すと、ざわめくギャラリーほったらかしで3人と一緒に校舎の中へと入っていった。
今日から始まる新学期!
ちょっと何かが変わる?予感……。



