桜舞う、麗らかな春。
洋風の立派な門をまだ真っ白な制服が馴染まない新入生達が緊張気味にくぐっていく。
私達の通う私立青藍高校にも、新年度がやってきた。
校門に辿り着くまでの数十メートルの距離で、部活勧誘の生徒達が新入生に足を止めてもらおうとあの手この手で声をかけている。
そんな中、何もしなくても注目を集めるのは勧誘など何もする気もない、ただ登校しているだけの王子共だ。
奴らが校門をくぐった瞬間、その場が黄色い歓声で沸き立つ。なんならもう悲鳴だ。
「H2Oだ!近くで見るとよりかっこいい〜♡」
「この眼福が毎日続くの?受験頑張ってよかったぁ♡」
もはや部活勧誘どころではない大パニック。
新入生達は“H2Oはみんなで愛でる”という鉄の掟など知るはずもなく、今にも飛びかからん勢いで突撃しようとする。
それをどこかで待ち構えていたH2Oファンクラブの会員達が必死でガードしている。
そんなカオス状態な中を、道を整備された3人は悠々自適に歩いていく。
「いつも以上にうるせぇ!なんなんだ今日は!」
広瀬真が苦虫噛み潰したみたいな顔をする。
「1年生の初登校日だからね〜。どさくさに紛れて突撃しようとして、無法地帯になっちゃってるねぇ。」
榛名聖は面白がって騒ぎを煽るように、お手振りして笑顔のファンサ。
「今日1時間目から授業あんだっけ?」
近江涼介はいつも通り気だるそう。多分群衆が見えていない。
「あるある〜。進学校に休みはないよ。
……さて、そろそろ“アレ”来るんじゃなーい?」
榛名聖がその存在を探すように辺りを見回す。
王子共に注目が一気に集まっている今、最高のタイミングで登場するのはやはり私だ。
頃合いを見て颯爽と飛び出し可憐に登場……しようとしたのに。


