「お前のわがまま叶えた結果だろうが!頭沸いてんのかコイツ。」
「ついに涼ちゃんにまで勉強で抜かされて、悔しいんだろうねぇ。」
「マジでガキみたいな思考回路だな……。」
やれやれと言ったように腕を組んで広瀬真は苦笑いをしている。榛名聖もその隣でうんうんと頷いている。
近江涼介は呆れ顔で、持っていた本を私の頭に乗せるようにして軽く叩く。
「約束、守ったけど?」
目も合わせず近江涼介は淡々としている。
……ホントに守ってくれたんだ。
するりと頭に置かれた本を滑り落とすように取り上げ、腰元で抱えると、踵を返して来た道を去っていく。
律儀なヤツだと気が抜けたりとか。
それでも順位負けたのはモヤるとか。
――いろんな感情が駆け巡って処理に時間がかかったせいでワンテンポ遅れてその後を追って走り出す。
残された2人もやれやれと欠伸をしたり伸びをしたりしながらゆっくりと後に続く。
「ちょっと近江涼介!待ちなさいよ!」
朝の澄んだ空気漂う廊下に、速度バラバラの足音が響いている。
気付けば冬の終わりも近づいて、いよいよ私たちは進級の時を迎えるのだった。


