「傑!何やってんの…って、うわ!超イケメン!
そしてこっちはちっちゃい傑だ!」
1番最初に辿り着いた女は近江涼介を見て赤面、次いで視線を下げて傑兄ちゃんの顔の真下にある私の顔を見つけて驚いた。
そうこうしている間にわらわらと仲間達が集まってきて、私を見て「傑に似ている」と好き勝手に騒ぎだす。
(あ――、うるさい。)
感情がシャットアウトして、私の目から光が消える。
女共に騒がれても完全無視を貫く近江涼介が、それに気づいてぴくりと指先を動かした。
「妹は誰にも渡さん!近江!お前にもだぞ!」
傑兄ちゃんは、私と兄ちゃんの仲間達の間に立ち塞がって両手を広げてガードする。
「はいはい、傑がシスコンなのはよーく知ってる〜。
もう行くよ!邪魔してごめんね、妹ちゃん達。」
1番最初に駆けつけた女が駄々をこねる傑兄ちゃんを引き摺り、仲間を連れて去っていく。
嵐が去った後は静かで、私と近江涼介はしばらくぼんやり立っていた。
痛い記憶が蘇って、心の中に影を落とす。
『傑の女版いるってまじ!?狙うだろ、コレ!』
『藤澤くんの妹って、そっくりだけど可愛げないよね。
でも藤澤くん妹可愛がってるし、優しくしないとね。』
兄ちゃんの友達はいつも、私を“傑の付属品”扱いする。
――だから、兄ちゃんの友達が大嫌い。
「姫。」
冷えた指先を、誰かが軽く揺さぶった。
私の名前を呼ぶ決して大きくはないのに、よく響く芯のある低音ボイスが耳に届いてハッとする。
声の方に振り向くと、近江涼介がこっちを見ていた。



