そして、ついに迎えたクリスマス。冬休み。
外はしんしんと雪が降っている。
いつぞや乗ったのよりかはかなりいかつめだが、なんだか高そうな車に乗り、静かな山道を登っていく。
「ひーちゃん、プレッツェル食べる~?」
「……たっ食べる!」
差し出された箱から、細長いお菓子を一本取りだす。
嬉しさなのか緊張なのかよくわからない感情で胸がはちきれそうだ。
「あんだけはしゃいでたのに、いざとなったらなんで緊張気味なんだコイツ。」
高級車なんて乗り慣れてますって太々しい態度で後ろの座席に座る広瀬真は、心底引いている様子で口端を引きつらせた。
「“友達と冬休みに外泊”ってシチュエーションに慣れてないからだろ。」
「ああ……つくづく可哀そうな奴。」
その隣で近江涼介も緊張など皆無でひじ掛けに肘をつき、無表情で外を眺めていた。
うるさすぎるけどその通り。
“友達と出かける”を最近クリアしたばかりの私にとって、
“冬休みに”
“しかもクリスマスに”
“友達の家で(別荘だけど)”
“遊ぶ”
……なんてパワーワード祭り状態のイベント、レベルが高すぎたのだ。
「ほーらひーちゃん、“お菓子交換”だよ~。お食べ~⭐︎」
それがわかっている榛名聖はさらに攻撃力の高いワードを上乗せしてくる。
奇妙な生ぬるい空気が車内に漂う中、車はどんどん山道を進んでいった。



