姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


「やったー!上がり!勝った勝った~!
さーて私に跪くのはどこの誰かしら~?」

「わぁ、これは一気に負けられない戦いになっちゃったなぁ~。」

「ざっけんなクソ、誰だ勝ったやつの言うこと聞くとか決めたやつ!」


「まーくんだよねぇ?」と榛名聖と広瀬真のやりとりが繰り広げられる中、テーブルに山になっているトランプを両手に抱えて舞い上げ喜ぶ私に近江涼介が話しかける。


「お前はどーなの?」

その時の表情はいつものスンとしたロボットで。それでも瞳は人間のままだ。


「たっのしいに決まってるじゃない!あんた達の内の誰かを屈服させられると思ったら余計にね!」


悪役令嬢の如く高笑いする私に、近江涼介は「ふーん。」とだけ返した。



――で、結局。

「まーけーたぁあああ!」

ジョーカー1枚片手に広瀬真が豪快にテーブルに倒れこむ。


そりゃ負けるでしょ。

瀬戸際の勝負のプレッシャーで習得したばかりのポーカーフェイスは崩れに崩れて、最後は「あ!」とか「う!」とか声出ちゃってたし。

おまけに相手はタイプが違えど普段からポーカーフェイスしてるような2人だ。

勝てるわけがない。


「広瀬真なんか強制しなくてもその内屈服するからお願い使うのもったいないわ。
命の危険にさらされた時のためにとっとこー♡」

「誰が自発的に屈服するか!そして願いなんか無駄に取っといて忘れてしまえ!」

いつも賑やか、今日も賑やか。平和な日常はこうして過ぎていくのだった。