姫君の憂鬱―悪の姫と3人の王子共―


何を血迷ったのか、ここは一つ蹴破るかと数メートル下がって助走をつけようとした時。

誰かに思い切り後ろから腕を引っ張られた。


「何してんの。」


「ッギャーーーーーー!!!」


出た!ついに出た!とって食われる前に私が食ってやる!!


腕に冷たい鉄のような強さ。

声は、まだ落ちてこない。


戦おうと手足をジタバタさせてみたけど、掴まれた手だけはどうしても振り解けなくてついに頭まで振ってみた。

それを数分続けた時、上からロボットの声が降ってきた。

「………何してんの。」

「近江涼介……!!」


腕を捻りあげるように掴まれたまま振り返ると、そこには声の通りのロボット。

しかし今は救世主の天使に見え……


「いや待って。
腕掴んだ後なんでしばらく話しかけなかったの?」

「なんか滑稽で面白かったから。」

「殺!!」


フリーの右拳を近江涼介の顔面目掛けて思い切り振ったら、あっさり避けられてそのままよろけた。

腕が捕まってるおかげで転びはしなかったけど。


「ここ、警備システム入ってないから18時には施錠されんだよ。
で、入るなら裏口あるからそっち。」

哀れみとも嘲笑とも取れる雰囲気を近江涼介から感じて悔しい。

そんなのお構いなしに、私の腕を解放して近江涼介はおそらく裏口のある方へさっさと歩きだしている。


私ばっかり怖がって、シラッとした後ろ姿が憎い。

……けど、冷静に砂を踏む足音が心強くもあって。


置いていかれるのは嫌だから、私も慌てて追いかけた。