鋭い指差しにも、近江涼介は眉一つ動かさない。
少しの沈黙の後、ようやく近江涼介の視線だけが窓の外へ動いた。
「なんでって言われても、俺、勉強得意じゃないし。」
夏の強い光を受けて緑が濃くなった窓の外を、黄昏れる様に見つめる近江涼介の顔は暗く沈んでいる気がする。
(あ、また人間になった。)
ダッサい台詞なのに、遠くを見る視線はなぜか少し切なく見えて。
いや、言ってることものすごくダサいんだけど。
完璧無欠なロボットなんかじゃない。
近江涼介も血の通った人間なんだ。
――そう思ったら、私の憤りも萎んでそれ以上何か言うのをやめた。



