繋ぐ波音

ずっと続くと思ってた。この波のようにずっと…。


「…さん、お母さん!」


優人の声でふと我に返る。何かを持ってそばに寄ってきた優人。ガラスの破片でも見つけたのかなと思った私は優人の背に合わせてしゃがみ込んだ。すると優人はおもむろに何かを握った手を私の耳に当てた。


「海の音が聞こえるでしょ?」


そう言って無邪気に笑いかける優人。耳に広がる波音に聞こえなくはない音。彼と同じことをする優人に涙がこみ上げてきたがぐっと堪えた私は優しく微笑んだ。


「うん。そうだね」





fin