「もしかして球技大会でやたらと妨害してきた岡本か?」

「いや、男子だったよ。なんかあんまり見たことないやつだったな」

「彼のことじゃない?」


 廉くんがPCを見せてくれた。
 廊下についている監視カメラの映像で、ちょうど隼人くんがプリントを拾っている映像が映っている。

 廊下に監視カメラがついているなんて知らなかったけど、今はそれどころではないので何も言わなかった。

 隼人くんと一緒にプリントを拾っている男の子の顔を拡大してくれた。


「あっ! そうだよ、こいつだ!」

「なるほど、それはおかしいね。彼は芸能科の生徒じゃないんだ」


 廉くんがいった。


「僕は全生徒の顔と名前を把握してるから間違いないよ」


 全生徒の顔と名前を!?
 す、すごすぎる!


「そして、ここを見てくれ」


 更に廉くんは映像を早送りする。
 女子トイレから一人の女の子が出てきたところで映像を止めた。


「今黒いロングヘアの女の子が出てきたでしょ? この子の顔を拡大するよ」


 カメラの位置的に拡大しても顔がはっきりとは見えない。
 だけど私にはわかった。


「この子美織だ!」

「えっ!? マジで!?」

「間違いないよ。口元にほくろがあるもん!」