いくらハッキングができたって美織を守れなきゃ意味がない。
 美織に万が一のことがあったらどうしよう……!


「しえる! しっかりしろ」


 蒼真くんが私の肩をつかんで真っ直ぐ見つめる。


「しえるは悪くない。誰のせいでもない」

「蒼真くん……」

「美織は俺たちが必ず助ける。きっと無事だから、弱気になるな」


 泣きそうになっていたけれど、蒼真くんの言葉でグッとこらえる。

 そうだ、絶対助けるんだ。
 弱気になっている場合じゃない。


「――うん、絶対助ける!」

「よし」


 蒼真くんはほほ笑み、改めて全員の顔を見回す。


「まずは落ち着いて状況を整理しようか」


 美織がいなくなったのは教室から一番近いトイレに行った数分後のこと。
 トイレに行ったところは隼人くんがちゃんと見ている。

 だけどなかなか出て来なかったので通りかかった女子に見てきてもらい、誰もいないと言われたそうだ。


「さりげなく廊下で待ってたんだけど、別に怪しいやつは入らなかったぞ」

「隼人はずっと美織から目を離さなかったのか?」

「あ、そういえば」


 隼人くんは何かを思い出したようだった。


「通りかかった子が目の前でプリントをぶちまけたから拾い集めるの手伝った」