美織がさらわれたと聞いた時は、心臓が止まりそうだった。
 倒れそうになったけど、蒼真くんに腕をつかまれてかろうじて動けているという状態だった。


「遅くなった!」


 アジトに着くと、他の三人がすでに集まっていた。


「蒼真くんとしえるん、一緒に来たの?」


 理央くんがたずねる。


「たまたま一緒にいたんだ。それより、美織がさらわれたって?」

「ごめん! 俺のせいなんだっ」


 隼人くんが直角に頭を下げる。


「なるべく美織ちゃんから目を離さないようにしてたんだけど、トイレに行ったきり戻って来なくて。色んな人に見てないか聞いたけど、どこにもいなくて……」

「トイレに行った数分の間にさらわれたということか」

「本当にごめん! 美織ちゃんのボディガードを任されてたのに」

「ううん、隼人くんは悪くないよ」


 私は首を横に振る。


「トイレにまでついていくわけにはいかないもん。私がずっとそばについていなきゃいけなかったんだ」


 みんなの役に立てたと思って浮かれてた。
 一秒足りとも美織のそばを離れるべきではなかったのに。


「私のせいだ。私のせいで美織は……っ」