予想外の質問だったのか、しえるは「えっ」と声をあげる。
俺はじ、と見つめてもう一度聞いた。
「しえるは笑顔になるのか?」
「えっ……もちろんなるよ!」
「ふーん」
でも、しえるを笑顔にする相手は俺じゃない。
しえるの推しはずっと美織だけだ。
幼なじみで親友だし、美織は俺から見ても素晴らしいアイドルだから気持ちはわかる。
なのに、しえるの一番になれないことが面白くない。
「しえるはどうしたら俺の方を見るんだ?」
「えっ!?」
しえるの顔が火がついたように真っ赤になる。
「なかなか美織に勝てないな」
「いや、Stergazeのことも応援してるよ!」
「この前の勝負も全員引き分けだというし」
「あんなの決められるわけないじゃない!」
これでもかなり本気だったんだけどな。
しえるに俺が一番カッコ良かったと言ってもらえる自信があっただけに、収録が終わってから聞いたら「全員カッコ良かった」と言われた時は不服だった。
ただ、あの後放送されたパフォーマンスは、過去最高のパフォーマンスだったとSNSで大盛り上がりだったしかなりバズった。



